延々と続いた炎暑のあと、
ある朝突然の冷気が肌に鮮やかに来る。
新しいわたくしが生まれたかのよう。
しかしそれは一時の感覚の迷いだ。
日常はゆっくりとたゆみなく歩んで行く。
少しの陰影の濃淡を揺らしながら。
**********
終はりへと進むひと日を秒針の動きのむしろ不思議にてある
平壌に夾竹桃とかんな燃え夏の命の引揚げ列車
このまろき生物園の百日紅ぐいと伸ばす手漆黒金襴
風も居て花も笑顔も揃ひてし友の写真の彼岸の旅路
隣家よりいつか来たりしコスモスの移ろひ咲きて去年までの縁
ある朝突然の冷気が肌に鮮やかに来る。
新しいわたくしが生まれたかのよう。
しかしそれは一時の感覚の迷いだ。
日常はゆっくりとたゆみなく歩んで行く。
少しの陰影の濃淡を揺らしながら。
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終はりへと進むひと日を秒針の動きのむしろ不思議にてある
平壌に夾竹桃とかんな燃え夏の命の引揚げ列車
このまろき生物園の百日紅ぐいと伸ばす手漆黒金襴
風も居て花も笑顔も揃ひてし友の写真の彼岸の旅路
隣家よりいつか来たりしコスモスの移ろひ咲きて去年までの縁