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日曜午後の、11月の空
ますます重苦しく見事な程に灰色一色

ただひとつ
楓の大木がゆうゆうと羽根をひろげて
燃え立っている
不死鳥のように、鳳凰のように、孔雀のように

来る日も来る日もひたすら赤い
枝から切り離されていくための
一葉ごとの残照
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十月の高空に浮く半月の淡きにカンナ燃え立つ朱色
 
唐突に月の丸き眼椋鳥の眠りの歌と雲波のなか

半月を見しより七日椋鳥の樹と暗雲を洩るる円月

雨雲のふと分たれて望の月夢のごとくに七日暮らしき

人事の間かけぬけて逢ふ満月の光は雲をはつか突き刺す

忘れまじ雲間の満月稀人に心傾け逢はむと待てば

困難を逆手に取って、500キロ移動して、神無月、夕闇にネオンが光る頃ただただ心急いて辺りを見回す。と、暗い重い雲に満ちた空から明かりが漏れている、それが満月であろうとは夢にも思わなかった。その周囲のみ雲が途切れたかのように。耳を圧する何かの騒音が、暗雲とともに夜気を充たしていた。とてつもない音の力だ。それは少し先の楠かなにかの大樹から発せられている。渡り鳥の子守唄、しかし騒がし過ぎないか。月に挨拶する、この前見たときは半月でしたよね! 空を見ることもありませんでしたよ! あ、やってくる、愛しい人影が、ひとつ。