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「構造」
苦しくも充実求め生きし子の無一物にて残す白骨
柔らかきよひらの毬(たま)の中空に構造確かにピンクの花の柄 ==あじさい
父の字の残る手帖を充たしゆく 来ざりし時をわが片歌に
海を見る窓に たゆたふ歌いくつ読みて忘るる そこにある蒼 ==苦心甲斐無き歌作
わが内に異形なるもの生れ初むや 耳より溢れ口には出さず ==大丈夫か?
二の腕と小指の力学太極拳 攻防転々脳裏に描く ==なかなか奥深い太極拳
「聴く」
ラジオより幼き脳に聞こえしは敗戦国の言葉と心
夕食時ラジオの流すヒャラリコを待ちたる時代空を見詰めて ==笛吹き童子
ミュージックならず講談浪花節ラジオ生活戦後日本
下宿してラジオのFM炊飯器心に希望青春なりし
英国にEU可否の論議ありて口に指当てしんと聴く人ら ==市民の集中力
「若きら」
小雨けふ心揺れたることもなき 世慣れぬ猫と眼を合はせしが
若き猫「あれ」と言ふがに雨の夜半我を見詰めぬ 心あるかに
つややかなる眉と睫毛の気配のみ瞳は見えず早乙女(さおとめ)の立つ
はたちほどのうなじとほおのたをやかに素顔の娘あり人目嫌ひて
電車移動しつつパソコン開け本も膝に並べて若きの居眠る
「6月、新朝顔」
梅雨らしき恵み沁み込む地の上にふつくら伸びて朝顔の蔓
あさがほのたまゆらの青に包まるる家に目覚めて漂ひ歩く
颱風の風とおぼしき風圧は梅雨前線発 雨の先触れ ==上空に、丁々発止の空気の流れ
紫の新朝顔(にいあさがお)の無心なるをはや撃ちしだく台風五号
灰色の空のいづこに陽のありし夏の早がけ朝顔の彩(あや) ==台風一過たちまち晴天
「ミルクの連想」
給食のスキムミルクの思ひ出をちびちび飲みて眠りを招く
人の為す収奪行為 枯れ草を食ませ雌牛を乳房と化して ==どんな権利あって人は、、、(福島)
絞められし雌鳥の腹に卵数多(らんあまた) 大から小へ工場めきて ==幼時に見た
悲しみに打ちのめされて泣くときは死人のごとく大口を開く ==世界のニュースに観る
人前で泣かざる子供なりしこと誰にも言はず 今は泣き虫
笑ひたき泣きたき気分 躓きてヘハヘハ動く二歳の口の辺
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「構造」
苦しくも充実求め生きし子の無一物にて残す白骨
柔らかきよひらの毬(たま)の中空に構造確かにピンクの花の柄 ==あじさい
父の字の残る手帖を充たしゆく 来ざりし時をわが片歌に
海を見る窓に たゆたふ歌いくつ読みて忘るる そこにある蒼 ==苦心甲斐無き歌作
わが内に異形なるもの生れ初むや 耳より溢れ口には出さず ==大丈夫か?
二の腕と小指の力学太極拳 攻防転々脳裏に描く ==なかなか奥深い太極拳
「聴く」
ラジオより幼き脳に聞こえしは敗戦国の言葉と心
夕食時ラジオの流すヒャラリコを待ちたる時代空を見詰めて ==笛吹き童子
ミュージックならず講談浪花節ラジオ生活戦後日本
下宿してラジオのFM炊飯器心に希望青春なりし
英国にEU可否の論議ありて口に指当てしんと聴く人ら ==市民の集中力
「若きら」
小雨けふ心揺れたることもなき 世慣れぬ猫と眼を合はせしが
若き猫「あれ」と言ふがに雨の夜半我を見詰めぬ 心あるかに
つややかなる眉と睫毛の気配のみ瞳は見えず早乙女(さおとめ)の立つ
はたちほどのうなじとほおのたをやかに素顔の娘あり人目嫌ひて
電車移動しつつパソコン開け本も膝に並べて若きの居眠る
「6月、新朝顔」
梅雨らしき恵み沁み込む地の上にふつくら伸びて朝顔の蔓
あさがほのたまゆらの青に包まるる家に目覚めて漂ひ歩く
颱風の風とおぼしき風圧は梅雨前線発 雨の先触れ ==上空に、丁々発止の空気の流れ
紫の新朝顔(にいあさがお)の無心なるをはや撃ちしだく台風五号
灰色の空のいづこに陽のありし夏の早がけ朝顔の彩(あや) ==台風一過たちまち晴天
「ミルクの連想」
給食のスキムミルクの思ひ出をちびちび飲みて眠りを招く
人の為す収奪行為 枯れ草を食ませ雌牛を乳房と化して ==どんな権利あって人は、、、(福島)
絞められし雌鳥の腹に卵数多(らんあまた) 大から小へ工場めきて ==幼時に見た
悲しみに打ちのめされて泣くときは死人のごとく大口を開く ==世界のニュースに観る
人前で泣かざる子供なりしこと誰にも言はず 今は泣き虫
笑ひたき泣きたき気分 躓きてヘハヘハ動く二歳の口の辺
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