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  「季節移ろう」

紫陽花も梔子も見ず過ぎたれどはせし思ひを 夢のごと想ふ

柿の葉の春秋の色 額の花 青柿熟るれば種も好もし

汝が父と汝がはらからとしめやかに 父祖らと汝れを祀れると知る

急かるるも行過ぎかねて、天に地に命の歓喜響くを聞きぬ



  「墓穴を掘る」

ジタバタの涯に命運ホームレスと ふさはしきかも地上に家なし

お互ひに菩薩の修行 頭を垂れて拝み合ふほか往く宛てもなし

事ここに至れるまでを手を引かれ 智慧と人との網の目模様

目的を果たせし刹那、ぽつかりと皮肉の穴を開けたるは我

目的についに来し時大墓穴 怨念悪意の力に負けたり

窓はまだ 黒濃き七時、目を開けて明るむを待つ「未来ありゃせぬ」

魂の軽さ知らねど物質をかくも散らかし死にたくはなし



  「祥月命日の二重の計らい」

九日のこと忘れまじ 恃みたる預けし信儀はたちまち叶ふ

REIKIとふ文字に撃たるも 我のため霊気おさおさ怠りなしに

さていかに努力すべきかググりみる 神の愛こそ信を置くべし

おそらくは黒白絶えず繰り返し、飽くなき喜び尽くさせむ意か

神の愛を真儀と信じそのままに受け入れてみむ 他へと流れ出づ

地球こそ愛の園なる証拠とて秘されし仕組みここに叫(おら)ばむ



  「黄葉のドイツ」

銀杏にはあらねど黄色に見ゆる樹よ、視神経へと信号放つ

巫女の振る鈴の音かくも見ゆるかと 白樺大樹万葉震わす

あろふことか小夜啼き鳥は旅立ちてワラヒカワセミ代はりに嘲ふ

鳥と木の図鑑買ひたし、ゴミ出しも理解の外の第二の故郷に

楽園の最後の輝きとも思ふ秋天陰らず 老いはシミしわ



  「プラスマイナスの波」

絶望の淵に二重の啓示あり 佇む我に御顔振り向く

未来なき終焉のみ見し時なほも、奥義たまはるほとんど真理

霜月の太洋いかに、わが船荷いづこを往くやAD二千年

残る日々を真裏の国に生きむとや 世事一つずつ片付けて過ぐ

諦めてゐたるテキスト見つけたり、友の言葉に希望を拾ひ



  「歓喜の歌」

美しき楽しき日の欲し山河ここに この身愛しみ歌ひ描きて

生命に神のたつぷり準備したる愛を歓べ この世愛しみ

愛の波 無尽蔵なる仕組みにて歓び極まる第九の季節

いづこにていかなる暮らしとなろふとも生死も超えて愛のみぞ在る

わが父母よ夭折の子よはらからよ友よ世界よ宇宙も一つ



  「パソコンのデスクトップ画面」

酸欠の夫の顔色紫に 自由の苦難へ覚悟傾く

霜月へ渡る時刻を4Kの画面に見惚る「くるみ割り人形」

楽しみのものに満ちたる日常を残生二十年 夢こそ叶ふ

パソコンのデスクトップに分速の歴史が流る、幼の瞳(め)は濡れ

庭造り震災よりの六年の花の歴史よ永遠に別れて

時を越え花も子も永遠、そこに在り見ても見飽かぬデスクトップ也

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