一年の大役終えてさて次は 2019年より(9)『74歳の冬至まで』~~

  「いつまで続くぬかるみぞ」
 
歌心想ふいとまも無き淵に二十日を経たり メモも残さず
 
何ゆゑかドイツの窓に依りて住む この街もまた通り過ぐるか
 
安堵して棲む終の家見つからず 心は神に預くとはせよ
 
古稀すぎてなほ人の世話できる運 ビタミン剤にて有難生活


 
  「枯れ葉に静かに雨の降る」
 
雨すぎて水滴満ちゐる園の内 金色秋陽の差し来と笑ふ
 
雨音に魂(たま)洗はるる心地して手の平に受く自然治癒力
 
かすかにも揺れて結ばる魂遊び 必ず仰天させらるる待つ
 
水晶のうちに幻浮かぶかに 言の葉透きて形ぞ見ゆる
 
秋たけて緑いろより万の色 拾はむとして選びやうなし
 
御業冴え奇跡ばかりの神無月 発想転換それのみ鍛ふ
 
憧れし白衣の天使 父のふと「医者にならんか」わが世開けり

__IMG_3032